統合報告書 2026

Sustainability経営企画・サステナビリティ担当役員メッセージ

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未来のヘルスケアを支える経営基盤を築く

渡邉 享英
PHCホールディングス株式会社 執行役員

グローバルビジネス経験から、持続的成長を支える経営基盤を構築

PHCグループの持続的な企業価値向上に向けた成長戦略を全社横断で推進し、その実行を支えていくこと。それが経営企画担当役員である私の役割です。現在、私が所管する領域は、経営企画、サステナビリティ、DX/AI、リスクマネジメント、VOC(Voice of Customer)、そしてIT(情報システム)に及びます。これらはいずれも企業価値向上に直結する重要な経営基盤であり、それぞれを個別に捉えるのではなく、相互に連動した一つの経営戦略として推進することが重要であると考えています。2023年10月より経営企画部の責任者として、2024年の新経営体制発足に伴う中期経営計画の策定を主導し、現在もCxOや各事業、世界各地のメンバーとともに、その実現に向けた取り組みを進めています。

私自身のキャリアは、米国での勤務や欧米企業との協業を通じて、日本と海外の標準や商習慣、あるいは顧客要求と社内の仕組みとの間に存在する「ギャップ」と向き合い続けた経験の積み重ねです。海外のお客さまから求められる技術、品質、規格への対応を社内へ展開し、具体的な仕組みへ落とし込む過程で学んだことは、正しい考え方を示すだけでは組織は変わらないということでした。重要なのは、できない理由を探すのではなく、どうすれば実現できるのかを考え、多様な人財を巻き込みながら前進させることです。その姿勢は現在の職務においても変わりません。サステナビリティの取り組みにおいても、欧州で先行するフレームワークや実務知見を積極的に活用しながら、グローバルで実効性のある基盤づくりを進めています。

PHCグループにとってESGは、企業価値向上を実現するための経営戦略そのものです。人財、データ、技術、サプライチェーン、ガバナンスといった経営資本の質を高めることで、事業の持続的成長と競争優位の確立に繋がると考えています。ESGはグローバル市場で事業を展開するうえでの「License to Operate」であり、お客さまから選ばれ続けるための前提条件です。欧州は当社グループ売上の約3割を占める重要市場であり、将来のライフサイエンス事業成長を支える戦略領域でもあります。主要顧客であるグローバル製薬企業では、人権、気候変動、サプライチェーンに関する要求が年々高度化しており、その対応力が競争力の一部となっています。ESGは事業継続のための基盤であると同時に、新たな成長機会を獲得するための重要なドライバーでもあるのです。

グループの結束力で成果創出を加速

現在の中期経営計画2027では、「将来の成長に向けた基盤構築」を重点テーマの一つとして掲げています。サステナビリティにおいても、2023年にマテリアリティを開示し、2024年度からはグループ横断の推進体制を本格的に稼働させました。取締役会による監督のもと、サステナビリティ委員会を中心としたガバナンス体制を整備し、CEOの強力なコミットメントと、取締役会による適切な監督を両輪とすることで、意思決定の迅速化と経営の透明性向上を図っています。また、同時に、人権デュー・デリジェンスやサプライチェーンGHG排出量管理、サプライヤーデュー・デリジェンス、情報開示基盤の強化など、グローバル水準の要請に対応できる土台を最短距離で整えてきました。

こうした取り組みは成果として現れ始めています。環境関連データを管理するシステムを導入し、短期間でサプライチェーンGHG排出量や廃棄物、水使用量などをグループ全体で定量的に把握できる体制を構築しました。また、欧州拠点の知見を活用したグローバル研修や、人権デュー・デリジェンスの推進などを通じて、組織横断でESG課題に対応する能力も向上しています。その結果として、EcoVadisでのブロンズメダル獲得や、CDPスコア向上、MSCIやFTSEの ESG指数への採用といった外部評価にも表れ始めています。これらは、中期経営計画2027で掲げた目標を約2年前倒しで実現した成果であり、今後の成長加速に繋げる重要なマイルストーンであると考えています。

また、企業価値向上を支える重要な要素として、DX/AIの活用を位置付けています。ESGやリスクマネジメントを高度化するためには、正確かつ迅速なデータ取得と分析が不可欠です。デジタル技術やAIを活用することで、経営の意思決定品質を高めるとともに、業務効率化や新たな価値創出を実現していきます。そのためには、経営企画、ESG、DX/AIといった所管領域を個別の施策で終わらせず、一つの成長戦略として有機的に連動させ、この総合力を発揮できる組織へと築き上げていくことが不可欠です。

選ばれ続ける「Precision Healthcare Solutions Company」へ

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当社グループは 2030年ビジョンとして「精緻な技術でヘルスケアの未来を切り拓くリーダーとなる」を掲げています。私は2030年に向けて、PHCグループが単なる医療機器メーカーではなく、「Precision Healthcare Solutions Company」として社会から必要とされる存在へ進化していくことを目指しています。その実現には、長年培ってきた精緻な技術力に加え、多様な人財、信頼性の高いデータ、強靭なサプライチェーン、顧客の声への深い理解、そしてコンプライアンスを高い水準で統合していくことが不可欠です。ESGは、経営戦略の一部として自然に組み込まれ、企業価値向上を支える重要な要素なのです。

現在、次期中期経営計画の策定を進めています。その中では経営理念を起点とし、「ダブルマテリアリティ」の考え方を取り入れていきます。社会課題が当社グループの財務状況に与える影響と、当社グループの事業活動が社会や環境に与える影響の双方を評価し、リスクと機会の両面を精査し、PHCグループの競争優位へ繋げていきます。そして経営理念、マテリアリティ、経営戦略を一貫して結び付けながら、事業戦略、人的資本戦略、DX/AI戦略、サステナビリティ戦略を推進することで、企業価値を高めていきます。

私たちは、変化する社会課題や顧客ニーズを成長機会へと転換し、お客さまや社会から選ばれ続ける企業を目指しています。PHCグループが保有する多様な事業、人財、地域の強みを結集し、社会価値と経済価値の両立を実現する。その挑戦を通じて、2030年ビジョンの実現と持続的な企業価値向上を達成していきます。私はその実現に向け、経営としての意思決定と実行に責任を持ち、着実に歩みを進めてまいります。

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